心臓の筋肉つまり心筋細胞を養う血管を冠動脈とよびますが、冠動脈は上行大動脈の起始部から左右に2本出ています。さらに左の冠動脈は2本の枝(下降枝と回旋枝)に分かれます。これらの冠動脈が動脈硬化により狭窄して起こる病気が狭心症や急性心筋梗塞です。これらを総称して虚血性心疾患(ischemic heart disease; IHD)または急性冠症候群(acute coronary syndrome; ACS)ともよばれます。
閉塞または狭窄したすなわち詰まりかかった冠動脈に対して行われる代表的な手術には、カテーテルを使用した経皮的冠動脈形成術(percutaneous transluminal catheter angioplasty; PTCA)と、開胸による冠動脈バイパス手術(coronary artery bypass grafting; CABG)があります。一般に動脈硬化から狭窄を起こしている冠動脈の数が1本であれば経皮的心臓カテーテル手術を行います。
最近では、手術ロボットのダ・ビンチ(da Vinci)を用いた冠動脈バイパス手術(ロボット支援下低侵襲冠動脈バイパス術 )が行われるようになりました。これにより入院手術期間も短縮され、早ければ3日間で退院できる人もいるようです。また胸骨正中切開による開胸手術も必要ないことから手術侵襲度も低いです。
メタ解析を行ったある論文によると、非糖尿病患者群におけるPTCAとCABGの比較では、術後死亡率に有意差がないとの報告があります。つまりいずれの術式を選択しても術後の死亡率は変わらないということです。糖尿病患者と冠動脈の多枝病変患者では、CABGを選好した方が良いようです。
したがって狭心症に対するPTCA後で、糖尿病などの基礎疾患がなく、術後の治療と経過観察が良好に推移していることが確認できれば、特別条件付で新契約も引受可かもしれません。急性心筋梗塞については、術後に残存している左室機能(left ventricular ejection fraction; LVEF)も加えて評価する必要があります。
参考
2.Mortality after coronary artery bypass grafting versus percutaneous coronary intervention with stenting for coronary artery disease: a pooled analysis of individual patient data
Comments