再発性多発軟骨炎(relapsing polychondritis; RP)とは、耳介、鼻、喉頭、気管軟骨など全身の軟骨組織に炎症を来たす疾患で、発症機序や原因は不明です。再発性・反復性をもち、血管炎や自己免疫疾患、腎障害を合併することがあります。RPは全年齢に起こりますが、特に40歳~50歳に好発し性差はありません。
主な症状は耳介軟骨炎が最も多く、次いで、気道軟骨、鼻軟骨、関節軟骨などの炎症が主体です。その他にも眼の充血や痛み、咳、呼吸困難、発疹など様々な症状が生じます。さらには、末梢および中枢神経症状を来たすこともあります。急性炎症の発作は数週間から数カ月で治癒し、数年にわたって再発します。さらに炎症が慢性的に続くことで軟骨が消失するため、高度の気道病変は呼吸不全を引き起こし、RPの予後に大きく影響します。なお活動性の評価には、RPDAI (The Relapsing Polychondritis Disease Activity Index)が用いられます。
RPの診断に特異的な検査は、現時点では確立されていません。診断は、臨床所見と補助的な血液検査、画像所見、及び軟骨病変の生検を行い、総合的に判断されます。
臨床所見としては、患者が次のうちの3つ以上を発症している場合に確定されます。
・両側性の外耳の軟骨炎
・炎症性の多関節炎
・鼻軟骨炎
・眼の炎症―結膜炎、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、ぶどう膜炎
・気道軟骨炎―喉頭あるいは気管・気管支の軟骨炎
・聴覚または前庭の機能障害―神経性難聴、耳鳴、めまい
治療にはステロイドホルモン剤や免疫抑制剤が選択されます。重症例には、TNF-α阻害薬や抗IL-6受容体抗体などの有効性も報告されています。気道病変が悪化して気道閉塞を生じた場合には、気管切開や気道内留置ステントが求められます。局所の炎症、疼痛には非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を用います。
予後に関しては、1980年代の報告では、10年生存率を55%とする一方で、8年後に94%の患者が生存していたとする報告もあります。
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