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スキルス胃がん

スキルス胃がんと確定診断されると、数カ月から1年と余命宣告されることが多いようです。リビングニーズ特約の請求手続きに入っても良いかもしれませんね。一般に胃がん全体の5年生存率は、60~70%と言われています。スキルス胃がんの5年生存率は10%と低く、5年以内に死亡する症例が多いと考えられます。これはスキルス胃がんの早期発見がとても難しく、がんの進行も速いからです。


スキルス胃がんは、自覚症状が出にくく、検査でも見落とされやすいため、早期に発見することは容易ではありません。定期的に胃の検査を受けることが、早期発見のためには何よりも重要となります。


スキルス胃がんは、胃がんの10%を占め、胃がん全体の患者数が多い男性と比較し女性に多く発症します。高齢女性だけでなく、若い年齢層(20~30歳代)でもスキルス胃がんは発症する可能性があります。胸部、心窩部と胃部の不快感や疼痛があるなら、いちど早期に上部消化管内峡検査も含め精査を受けることをお勧めします。





ある報告では、スキルス胃がんは、ステージⅠ~Ⅲだと5年相対生存率は約30%、ステージⅣでは4%前後とされています。スキルス胃がんは、発見されたときに既にステージⅣと評価されることが多いです。というのもスキルス胃がんが発見されたときに、腹膜播種を起こしている症例が多いからです。スキルス胃がんの初期段階では、ほとんど症状がありませんが、徐々に進行すると食指不振や吐き気、嘔吐、吐血、黒色便などの症状が現れます。血液検査では貧血を起こしていることもあります。成人女性の貧血では、婦人科疾患とがんを疑って精査することが大事です。


スキルス胃がんは、初めは胃粘膜に凹んだタイプの小さながん(早期がん)が徐々に(2~3年かけて)スキルス胃がんに変化するようです。


従来から行われている進行胃がんの肉眼的分類(Borrmann分類)を整理しておきます。次の4つの型に分類され、分類不能なものは5型とします。

  • 1型 腫瘤型 隆起した腫瘤が特徴

  • 2型 潰瘍限局型 潰瘍を形成し、周囲の正常組織との境界が明瞭

  • 3型 潰瘍浸潤型 潰瘍を形成し、周囲組織へ浸潤して行く

  • 4型 びまん浸潤型 著しい潰瘍形成はなく、胃壁の肥厚・硬化が特徴


スキルス胃がんは、4型に分類されます。胃の粘膜下層にがン細胞が広く浸潤し、胃壁が硬く厚くなる特徴があります。このためバリウムによる胃X検査をすると、胃が鉛管のように細く映ることがあります。硬いがんであることから、スキルスと命名されたと思います。スキルスとは、ギリシヤ語の硬い腫瘍(skirrhos)に由来する言葉です。胃がんの細胞が胃壁へ浸潤して硬化させる病態が分かりますね。

全がん協加盟がん専門治療施設の生存率共同調査によると、胃がん病期4期の5年と10年の相対生存率は6.2%と5.8%といずれも低いことが分かっています。スキルス胃がんはこれと同じ病態であると思ってください。  



(参考) 全がん協加盟がん専門治療施設の生存率共同調査 https://www.zengankyo.ncc.go.jp/etc/seizonritsu/seizonritsu2013.html







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