尿路結石とは、腎臓で作られた尿が体外に排出されるまでの通り道である、腎盂腎杯、尿管、膀胱、尿道などに生じ、沈着する石のことで、その尿路結石が詰まることにより生じる一連の疾患を尿路結石症といいます。
上部尿路結石(腎結石、尿管結石)が95%と圧倒的に多く、下部尿路結石(膀胱結石、尿道結石)は5%と稀です。男性:女性比は2.5:1と男性に多く、男性の7人に1人、女性の15人に1人が一生に一度はなるといわれます。また、この40年間で患者数は約3倍に増加しており、男性は30~50代の働き盛り、女性は閉経後の50~70代がピークといわれています。
症状
尿路結石の約3割は大きさが小さく、自然に尿路内を移動して排出されるため痛みを伴いませんが、大きくなるにつれ尿管を塞いでしまうので、腎臓で尿が生成されるにつれて結石から腎臓までの圧力が高まっていき激痛が生じます。七転八倒と称される程の疝痛で、腰周辺や鼠径部、脇腹、背中側あたりに生じまれに失神することもあります。夜間や早朝に生じることが多く、通常3~4時間持続し、一部には腎盂腎炎を併発し発熱を呈することもあります。また、典型的な症状は血尿ですが、結石周囲の細菌感染のために、膿尿や細菌尿を認め、嘔吐、頻尿、残尿感の症状もあります。重症化すると水腎症となり、腎機能が低下することもあります。
原因
尿中のシュウ酸とカルシウムは通常は結合せずに溶けているのですが、濃度が高くなると結石ができやすくなります。また、水分が少ない時、脂質や塩分摂取過多な食生活を送っていると結石が発生しやすくなります。この他、リン酸カルシウム結石、尿酸結石、これらが混在する結石が多く、尿路感染によって形成されるリン酸マグネシウムアンモニウム結石や、遺伝が原因で先天的に発生するシスチン結石というものもあります。
診断
自覚症状や疼痛部位から疑い、尿検査では尿潜血を調べます。次に、腹部エコーや単純レントゲン検査で診断をつけます。診断が困難な場合や、積極的治療を検討する様な場合には、経静脈的腎盂造影やCT検査を行うことがあります。
鑑別疾患
急性膵炎、胆石症は尿路結石と共に三大激痛と言われています。この他、急性虫垂炎、急性腹膜炎、膀胱炎、腎盂腎炎が腹痛や血尿という点で共通しています。
治療
尿管の太さは通常約5mmですが、2cm程度までは拡張性があるといわれており、5mm未満の小さな結石の場合には自然排石される可能性は68%、5~10mmの場合でも48%が自然排石されるというデーターもあるため、10mm未満の結石の場合は自然排石を期待して、水分や鎮静剤、利尿剤、排石促進薬・溶解剤等を用いて経過観察することがあります。また、1cm未満の小さな結石の場合には、背中から衝撃波を照射して結石を砕く治療法ESWL(体外衝撃波結石粉砕術)も行われます。1cm以上では、T∪L(経尿道的結石粉砕術)が行われます。
これは、直径3mm程度の内視鏡を尿道から入れて、尿管や腎臓の結石をレーザー等で粉砕する治療法です。砕いた結石はバスケットカテーテルで直接回収し取り除いていきます。2cm以上の結石や腎臓にできた大きな結石、サンゴ状結石等の場合には、背中から腎臓に通じる1cm程度の太い穴を経皮的にあけて、そこから内視鏡を挿入して鉗子で摘出したり、レーザー等で結石を粉砕するPNL(経皮的腎結石粉砕術)が行われます。この他、T∪LとPNLを同時に行い、より確実に結石を取り除く方法ECIRS(経皮・経尿道同時内視鏡
手術)もあります。
予後
尿路結石、とりわけカルシウム結石の5年再発率は約45%と非常に高く、再発予防が大切です。排出された尿路結石の成分分析を行い、その結果に基づいた食生活指導が重要と言われています。
引受査定のポイント
治療中の場合は、死亡保険系は引受可として問題ないと思われますが、医療保険は部位不担保等の条件付での引受が妥当でしょう。治療をしていない場合(単なる定期健診での指摘や経過観察のみの場合)は、死亡保険系は引受可として問題ないと思われますが、医療保険については、指摘されてから一定期間は部位不担保等の条件付での引受が妥当でしょう。
本メルマガの内容については、配信日現在の医療情報、医療事情及び医療環境等のもとで記載しており、将来的な約束をするものではありません。また、あくまでも一般的な内容であり、個々のケースや保険会社各社様によって基準は異なることをご承知おき下さい。2019年4月
Comments